日本勢は、なぜ勝てなかったのか、から二年。
2012年9月3日 TCG全般http://archive.mtg-jp.com/eventc/ptams10/article/008381/
この記事を覚えているだろうか。
我らが皮裂きさんによって投げかけられ、各所に波紋を呼んだ伝説の記事である。
今日は、2012年9月3日。PTアムステルダムが開催されたのは2010年9月3日~5日。そう、あれからちょうど2年の時が経ったのだ。
さて、今の日本の現状はどうだろう?
2010年、千葉での世界選手権は振るわなかったが、2011年の世界選手権では、彌永プロが優勝、団体戦でも優勝と最高の結果を残した。
2012年、チーム戦で行われたMWCこそ日本チームは初日敗退を喫したものの、プレイヤー選手権では決勝に二人の日本人を送り込み、見事に渡辺プロが優勝。二度目のPOYの座に輝いた。
この結果を、「わずか二年で状況は改善した」とみるのか、「状況は変わっておらず、個々人が頑張っただけ」とみるのか。いずれにせよ、結果が出た今こそ、もう一度状況を見直すべきだろう。
さて、そのためのガイドラインとして、記事を読み返してみよう。
1:混合フォーマットへの変化
日本人は、この変化に見事対応したと言えるだろう。
最近のPTQの盛況を見るにつけ、リミテッド人口は増えたし、カジュアルからトーナメントへ移ってくる人数も増えた。
そして、プロはプロとしてこの変化に対応してきた。
2:練習不足
僕自身はツイッターなどでプロのやり取りを拾ったり、たまに話を聞いたりする程度ではあるが、彼らの方針は「練習時間が不足しているなら、質を高めよう」という形に変化したように思う。
もちろん、前から彼らの練習の質は高いのだが、試す前に考えたり、考える思考プロセスを公開したりと、練習の共有化が図られてきたように思う。
僕レベルの人間がこういった話を間接的にでも拾えるということは、日本人全体の練習の質も上がっているのだろう。
その背景に、コガモさんの記事をはじめとしたmtg-jpでの大量の情報があったことは特筆しておくべきだ。
3:デッキビルダーの不在
この問題は解決しつつある。
近年ではモダントロンを開発したうんぽぴんなどが有名だが、この二年で個性的なビルダーが生まれ、しかも彼らがショップなどを通じて交流できる環境が整いつつある。
4:情報戦
この問題にもプロは敏感だ。彼らが草の根の大会で調整する姿は、あまり見なくなった。実際、参加人口が増えたために草の根の大会はカジュアルなプレイヤーも多く参戦するようになっており、彼らプロの練習には向かない環境になっている。逆に、アメリカではSCGが毎週開かれており、MOと合わせて情報が広く共有されている。日本の草の根大会が、ショップ共催を強いられたせいで弱体化している(ように見える)ことがプラスに働いているのかもしれない。
語学の壁についても、中村プロがチャネルと練習するなど、2年前とは変化が見られる。
5:リミテッド+情報共有
この点は、ツイッターとニコ生が非常に役立っているのではないか。
例えば、渡辺プロはツイッター上では「残念なアニメオタク」というキャラクターを意識的に(意識的に、だよね?)装っており、ファンとの距離を近くプロデュースしている(んだよね?)。
多くのニコ生主たちも、様々な演出でファンを楽しませつつ、多くの意見を取り込んでいる。
6:コミュニティの消失
これもまた、ツイッターやニコ生の存在が大きい。
コミュニティは間違いなく広がっているし、情報共有もスムーズだ。
以上、駆け足で見てきたが、こうしてみると驚くほど日本の状況は改善している。
全員がそれぞれの立場で努力したこともあるが、状況の改善としては以下の4つにまとめられるだろう。
①mtg-jpという情報源の誕生
②MO人口の増加
③ショップ環境(TCG業界)の改善
④ネット環境の変化(ツイッター、ニコ生)
しかし、①は様々な事情で近年弱体しており、②は日本が円高ということもあって世界に追い付いただけで、これから他の国でもどんどん導入されることが見えている。③こそ希望だが、ショップの盛況にはブシロード系のゲームが大きく寄与しているため、自力解決とは言えないし、④ネット環境の変化は日本だけの話ではない。
また、敢えて触れる必要もないのかもしれないが、この二年の間に、トッププロの間でサスペンドを含むトラブルが何度かあったことも、状況の変化に良くも悪くも影響を与えている。コミュニティの支柱が失われることが、そのコミュニティを成長させることも、弱体化させることもあるのだということは、僕自身覚えておきたいと思っている。
最後に、今の「強い日本」復活の原動力の一つに、皮裂きさんのこの記事があったことを、カバレージライターの端くれとして心に深く刻んでおきたい。
この記事を覚えているだろうか。
我らが皮裂きさんによって投げかけられ、各所に波紋を呼んだ伝説の記事である。
今日は、2012年9月3日。PTアムステルダムが開催されたのは2010年9月3日~5日。そう、あれからちょうど2年の時が経ったのだ。
さて、今の日本の現状はどうだろう?
2010年、千葉での世界選手権は振るわなかったが、2011年の世界選手権では、彌永プロが優勝、団体戦でも優勝と最高の結果を残した。
2012年、チーム戦で行われたMWCこそ日本チームは初日敗退を喫したものの、プレイヤー選手権では決勝に二人の日本人を送り込み、見事に渡辺プロが優勝。二度目のPOYの座に輝いた。
この結果を、「わずか二年で状況は改善した」とみるのか、「状況は変わっておらず、個々人が頑張っただけ」とみるのか。いずれにせよ、結果が出た今こそ、もう一度状況を見直すべきだろう。
さて、そのためのガイドラインとして、記事を読み返してみよう。
1:混合フォーマットへの変化
日本人は、この変化に見事対応したと言えるだろう。
最近のPTQの盛況を見るにつけ、リミテッド人口は増えたし、カジュアルからトーナメントへ移ってくる人数も増えた。
そして、プロはプロとしてこの変化に対応してきた。
2:練習不足
僕自身はツイッターなどでプロのやり取りを拾ったり、たまに話を聞いたりする程度ではあるが、彼らの方針は「練習時間が不足しているなら、質を高めよう」という形に変化したように思う。
もちろん、前から彼らの練習の質は高いのだが、試す前に考えたり、考える思考プロセスを公開したりと、練習の共有化が図られてきたように思う。
僕レベルの人間がこういった話を間接的にでも拾えるということは、日本人全体の練習の質も上がっているのだろう。
その背景に、コガモさんの記事をはじめとしたmtg-jpでの大量の情報があったことは特筆しておくべきだ。
3:デッキビルダーの不在
この問題は解決しつつある。
近年ではモダントロンを開発したうんぽぴんなどが有名だが、この二年で個性的なビルダーが生まれ、しかも彼らがショップなどを通じて交流できる環境が整いつつある。
4:情報戦
この問題にもプロは敏感だ。彼らが草の根の大会で調整する姿は、あまり見なくなった。実際、参加人口が増えたために草の根の大会はカジュアルなプレイヤーも多く参戦するようになっており、彼らプロの練習には向かない環境になっている。逆に、アメリカではSCGが毎週開かれており、MOと合わせて情報が広く共有されている。日本の草の根大会が、ショップ共催を強いられたせいで弱体化している(ように見える)ことがプラスに働いているのかもしれない。
語学の壁についても、中村プロがチャネルと練習するなど、2年前とは変化が見られる。
5:リミテッド+情報共有
この点は、ツイッターとニコ生が非常に役立っているのではないか。
例えば、渡辺プロはツイッター上では「残念なアニメオタク」というキャラクターを意識的に(意識的に、だよね?)装っており、ファンとの距離を近くプロデュースしている(んだよね?)。
多くのニコ生主たちも、様々な演出でファンを楽しませつつ、多くの意見を取り込んでいる。
6:コミュニティの消失
これもまた、ツイッターやニコ生の存在が大きい。
コミュニティは間違いなく広がっているし、情報共有もスムーズだ。
以上、駆け足で見てきたが、こうしてみると驚くほど日本の状況は改善している。
全員がそれぞれの立場で努力したこともあるが、状況の改善としては以下の4つにまとめられるだろう。
①mtg-jpという情報源の誕生
②MO人口の増加
③ショップ環境(TCG業界)の改善
④ネット環境の変化(ツイッター、ニコ生)
しかし、①は様々な事情で近年弱体しており、②は日本が円高ということもあって世界に追い付いただけで、これから他の国でもどんどん導入されることが見えている。③こそ希望だが、ショップの盛況にはブシロード系のゲームが大きく寄与しているため、自力解決とは言えないし、④ネット環境の変化は日本だけの話ではない。
また、敢えて触れる必要もないのかもしれないが、この二年の間に、トッププロの間でサスペンドを含むトラブルが何度かあったことも、状況の変化に良くも悪くも影響を与えている。コミュニティの支柱が失われることが、そのコミュニティを成長させることも、弱体化させることもあるのだということは、僕自身覚えておきたいと思っている。
最後に、今の「強い日本」復活の原動力の一つに、皮裂きさんのこの記事があったことを、カバレージライターの端くれとして心に深く刻んでおきたい。
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